"ひも"とは001:"ひも"

みなさん、超ひも理論というのをご存知でしょうか。英語で言うと、「Super String Theory」。おそらく知らない人が多いと思うので、まずその説明から始めます。

超ひも理論ってのは、物理学の新しい仮説なんですよ。まあ、新しいって言っても、考え出されたのは俺の生まれる前らしいのですが。ほら、高校で習う物理って、ニュートン力学だったじゃないですか。で、宇宙規模のでっかい範囲でニュートン力学を当てはめると、矛盾が生じるっていうんで出来たのが、アインシュタイン相対性理論。逆に、電子とか、素粒子のような微小な範囲で矛盾が生じて出来たのが、量子力学なわけです。

でも、宇宙に2つの理論があるのは、物理学者としてはイヤみたいなんですよ。なんとか、1本の方程式で表わしたいらしい。そこで考え出されたのが、超ひも理論なのです。あくまで仮説ですけどね。どんな仮説かというと、「物質の最小単位を"ひも"とする」わけです。そう仮定して計算すると、全く矛盾の無い美しい方程式だか理論だかになるという話でして。しかし、実際には小さすぎて、"ひも"が観測出来ないので仮説の域をでない。もしかして、全くの的外れの可能性だってあるわけです。

・・・ま、説明はこんなところですよ。M理論とか、もっと詳しいことが知りたい方はWikipediaでも読んでみてください。この説明では簡単すぎて、間違った言い方になっているかもしれませんが、正直、本当の超ひも理論について、それほど詳しく知って頂く必要はありません。ただ、これからの話に関係するので、知って頂きたいのは、「(仮説ではあるが)超ひも理論は宇宙の真理を表わしている」、ということです。

そして、俺がこれからしようとしている話というのが、「人の中にも"ひも"がある」、ということなのです。ここで、"ひも"のことを"真理"という言葉に置き換えてもいいのですが、それだと宗教っぽくなってしまう気がするし、"ひも"の方がインパクトがあるので、"ひも"という言葉を使っていこうと思います。また、"真理"という言葉は「不変」な感じですが、俺の言う"ひも"は、雲のように、少しずつですが絶えず動いています。そういう意味では、"真理"というより"感性"と言った方が当てはまるのかもしれません。

つまり、何が言いたいのかというと、"ひも"というのは、「1人1人の人間が持っているコア」なのです。その"ひも"にしたがって、人は毎日生活している。例えば、俺が馬券を買います。その時、どの馬券を買うかって言うのは、俺の"ひも"が決めているわけですよ。「じゃあ、"ひも"っていうのは、その人の"考え方"じゃん」、と思うかもしれません。

では、もうひとつの例。俺が作曲をします。その時、その思いついたメロディってのは、俺の"ひも"から出てきているわけです。この場合、"考え方"という言葉は当てはまりません。先ほどの、"感性"という言葉の方がフィットするでしょう。

このように、"真理"とか"考え方"とか"感性"と言えるような、人間の中に漠然とあるものを、俺は"ひも"と呼んでいるのです。