"ひも"とは003:無意識を意識する

俺は、絶対音感はありませんが、コードを判別することはできます。もちろん相対的ですし、あまり複雑になってしまうと無理ですが。絶対音感の取得に比べると、コード判別はそれほど難しいことではありません。ギターのようなコードを奏でる楽器をしばらく練習していれば、誰でもとは言いませんが、ほとんどの人ができるようになる気がします。

そういう俺も、曲作りのために始めたギターのおかげで、コードがわかるようになりました。もう昔のことなので、あまり記憶に無いのですが、コードがわかるようになってまもなく、こう思ったことだけは覚えています。

「なんだ、今までだって聴こえてたじゃないか」

そう、別にそれまで聴いていた音楽が変化したわけじゃないのですから、当たり前です。突然耳が良くなって、聴こえなかった音が聴こえたわけでも無いですし。

で、そのコード判別の方法なのですが、他の人はどうなのか知りませんけど、俺は感情の変化によってコードを判別しています。例えば、ハ長調でいうと、Cは「まっすぐな感じ」、Gは「爽やかな感じ」、Fは「暖かい感じ」といったように、俺の"ひも"が感じたことに対して、丁寧に気づいてやることで、コードを判別しているのです。

要は、無意識下の感情に気づくかどうかなのです。俺はこれを「無意識を意識する」と呼んでいます。しかし、芸術が得意な人が全て無意識を意識しているかというと、そうではないようです。俺より芸術が得意な友達に話を聞くと、そんな難しいことは考えてないらしい。

これは俺の見解なのですが、そういう人は、「無意識>意識」という状態になってるのではないかと思います。言い方を変えると、「"ひも"が表に出やすい」タイプ。残念ながら、普段意識的に生きようとしている俺には、その域まで達することはできないでしょう。「無意識を意識する」で精一杯なのです。