"ひも"とは005:レベル1→レベル2

俺はこれまでに2回、ターニングポイントというものがありました。この2回はどちらも人からの影響によるものなのですが、今回はその1回目のターニングポイントについて書こうと思います。

中学1年の秋から中学2年の冬にかけて、俺は同じクラスのシュマゴラス君(仮名)という友達とほとんど毎日のように遊んでいました。シュマゴラス君の特徴を一言で言うならば「頭の良い不良」。自分より不真面目なクセに自分より成績がイイなんていうのは、今から考えるとたいしたことではないのですが、当時の俺の尺度からすると、自分よりレベルが1つも2つも上のように感じてたのです。

ただ、シュマゴラス君は塾に通っており、俺は通っていませんでしたから、別に成績に対する差はあまり感じてませんでした。むしろ、圧倒的な差を感じたのはその不真面目な部分です。学校で禁止されているゲーセンに通いつめたり、4車線の大通りを自転車で斜め横断したり、家にあるワインをラッパ飲みしたり。大人から「やっちゃいけない」と言われていることに対して、やらないし、やろうとも思ってなかった俺にとって、シュマゴラス君は全く理解不能な存在だったのです。

もちろん、不真面目な人間は他にも沢山います。でも、シュマゴラス君とは違い、彼らのことはいくらか理解できました。俺が、大人から言われたことに「Yes」と答えているのに対し、彼らは「No」と答えているだけだと思ったからです。

では、そんな彼らとシュマゴラス君との違いはなんなのか、という話ですけど、違いは「自由を感じているかどうか」だったように思います。自由を感じていれば、世の中何をやってもいいわけです。例えば、4車線の道路を、横断歩道で渡ってもいいし、斜め横断してもいいし、スキップで渡ってもいいし、側転で渡ってもいいし、選択肢は無限です。なんなら渡らなくてもいい。

自由を感じていない俺が、外部から選択肢を与えられ、それに「Yes」か「No」の2択で答えているのに比べたら、自由を感じているシュマゴラス君は、自分で選択肢を作り出し、無限の選択肢を得ているわけですから、そこにレベルの差を感じるのは当たり前でしょう。

つまり、俺がレベル1であるのに対し、シュマゴラス君はレベル2なのです。このレベルの差は、選択肢を需要する人間と供給する人間の差なので、レベル1の人からすると、レベル2の人は大変ありがたい存在です。「この人の近くにいれば、人生が楽しくなる」と思ってることでしょう。というか、当時の俺はそう思っていました。

また、このレベルは「次元」と言い換えることも出来ます。レベル1の人は、前に進むか後ろに進むかの2択なので、1次元(数直線)です。それに比べると、レベル2の人は無限の選択肢を持っていますから、0°〜360°のどの方向に進むことができ、2次元(面)と言えます。

この感覚はキャプテン翼を読んだ方には分かって貰えるでしょう。ロベルト本郷いわく、サッカーは自由なわけです。フィールドという盤面の上で何をしてもいいのですから・・・。そして、こんなことを書いているくらいなので、俺はその後、シュマゴラス君のおかげでレベル2になったわけです。もちろん、完全に自由を感じていたかどうかは疑問ですが。