"ひも"とは007:レベル2→レベル3(part2)

まずは、もう一度このグラフを載せます。

今回は、赤線のグラフについての話からはじめましょう。この赤線、きっと亀田先生自身のグラフなのだろうと思いますが、どうしたらこういう軌跡が描けるかについての答えは、その時、明確に教えてもらったわけではありません。むしろそれ以降の授業で、試験対策ではない「学問」を先生から学ぶことによって、また、その間に含まれる「赤線の具体例」を雑談として聞くことによって、教わったと俺は思ってます。

それではここから、その教わったことを踏まえて、俺が思う赤線の一例を示します。大学に入り、学ぶことに楽しさと喜びを見い出し、学問に打ち込み、それ以外でも自分が向上することを常に考え、行動し、その経験と自信を胸に就職活動をし、就職し、自分のため、周りの人のため、人類のため、地球のために懸命に働き・・・。

とまあ、この辺にしておきましょう。しかし、おそらく、こんな一例を出しても、昔の俺は納得しなかったと思います。それは次のような疑問が生じるから。

    • 勉強が楽しいはず無いじゃないか
    • 大学での勉強は仕事に生かせないから大学で勉強するのは意味が無いだろう
    • 仕事が楽しいはず無いじゃないか

俺がなぜ亀田先生に感謝しているのかというと、この疑問を解消してくれたからなわけです。次のように。

まずは、「勉強が楽しいはず無いじゃないか症候群」を治すための処方箋から。

  • 勉強の成果を見るのがテスト

俺はそれまで、勉強を「テストでいい点を取るための行為」だと思ってました。だから、なるべく点を取るために効率のいい勉強、つまり、よくテストに出るところだけを勉強しようとしてたわけです。でも、これっておかしい事でしょう。本来なら、勉強の成果を見るのがテストなのに、それまで俺は、テストのために勉強してたのですから。

  • テストで点を取るための勉強は効率が悪い

テストのために勉強していたことは、テストが終われば忘れます。それが普通でしょう。「それで何が悪い」と言われそうですが、悪いんですよ。それだと俺という人間は何も成長できていません。ただ、「テストでいい点を取った」という肩書きが残るだけです。それを繰り返していったらどうなるか。実力の無い肩書き人間になるだけでしょうが。

  • ちゃんと勉強したら楽しい

「ちゃんとした勉強」とは何なのかですが、これは俺の有機化学の勉強を例にしましょう。(「俺の」と言っても、実は亀田先生のマネなのですが。)自分なりの有機化学データベースを作ることによって、勉強としているのですが、これは、「体系的に学ぶこと=学問」という考えからきています。つまり、データベースを作り、有機化学という体系を頭に入れているわけです。これを作るために、マクマリー有機化学を読みます。とはいえ、マクマリーもすでにデータベース化されているので、大体この通りにまとめていけば問題ありません。マクマリーを読んで理解するのですが、当然、疑問が出てきます。そしたらその疑問について、思う存分悩みます。もし、他のいろんな専門書を読んでも分からないならば、先生に聞きにいきます。で、十分に理解した後は、どうまとめるかについて、思う存分悩みます。「マクマリーはこう書いてるけど、この方が分かりやすいんじゃないだろうか」とか、表現までこだわって、色鉛筆で丁寧に絵も描いて、納得できるデータベースを作り上げるわけです。

「それの何が面白いの?」と思うかもしれませんが、この面白さは例えば、苦しいのに山に登ったり、マラソンをしたりする感覚と同じではないでしょうか。RPGでレベル99にしたりアイテムをコンプリートする感覚とも同じかもしれません。つまり、思う存分努力することが楽しいことなのです。それに比べると、「点を取るために必要な勉強しかしない」という姿勢は、努力を出し惜しみしていて、楽しくありません。

また、「ちゃんとした勉強」は罪悪感が無いために楽しさを感じる、という面もあるでしょう。この罪悪感とは、「勉強の成果を見るのがテストなのに、テストのために勉強していること」や、「人間的に成長していないのに、肩書きだけが残っていくこと」です。

  • ちゃんとした勉強は効率がいい

これは、勉強したことが残っていくということもそうなのですが、もう1つ、楽しんでいるということが効率のいい勉強なのです。楽しんでいる時、脳の中ではドーパミンなどの快感物質が出てるそうですが、脳は、そういう快感物質が出る前の行動の記憶を強化するという性質があり、これを強化学習と言うらしいのです。

次回は、「大学での勉強は仕事に生かせないから大学で勉強するのは意味が無いだろう症候群」の処方箋から。